EVS製品による、IPと集中制御が生み出す、高品質なスポーツイベント

  • EVS

Pacers Sports and Entertainment(PSE)は、インディアナ州を代表する2つのプロスポーツフランチャイズを運営する組織です。

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最大18,000席を有するダウンタウン・インディアナポリスのGainbridge Fieldhouseを拠点に、PSEはBig Tenバスケットボールトーナメントやコンサート、コメディショー、大規模ライブイベント、プライベートイベントなど、年間を通じた過密なスケジュールを運営しています。

これらの制作を支えるため、PSEは常設の自社ライブ制作施設を運営しています。このコントロールルームから、アリーナのLEDディスプレイ向けにライブカメラ映像やリプレイ、ロールイン、カスタム要素を含む、会場内のあらゆるコンテンツを制作し、会場内および複数会場にわたるファンのゲームデー体験を演出しています。

拡張性を前提に設計されたこの制作インフラは、現在では単一会場の枠を超えて活用されています。2026年からは、リーグチームの新たな本拠地であるThe Arena at Innovation Mileの接続・支援にもこのインフラを活用し、複数拠点でリソースを共有しながら一貫した制作を実現しています。

課題

2023年、Gainbridge Fieldhouseの大規模改修は、PSEにとって制作組織の在り方を根本から見直す機会となりました。既存システムを部分的に置き換えるのではなく、多くのインフラを撤去し、物理的なスペースを再設計したうえで、制作環境をほぼゼロから再構築しました。しかもこの間、会場では過密なライブイベントのスケジュールが継続していました。

最大の課題のひとつは、ルーティングと制御環境の刷新でした。チームには、ゲームデーの運用を危険にさらすことなく、リスクを抑えた移行を確実に実現できる、IPベースのコアで構築されたソリューションが必要でした。

同時に、会場内コンテンツの品質に対する期待も高まり続けていました。ファン、チーム、スポンサーはいずれも、より高い制作価値と、各イベント特有の演出要求に応える、より強いストーリーテリングをアリーナのLED画面に求めていました。

効率性も重要な要素でした。頻繁に入れ替わるイベントと、エンジニアリング・非エンジニアリングの両方の人材が関わるチーム体制の中で、制作環境はより操作しやすく、自動化が進み、ヒューマンエラーの機会が少ないものである必要がありました。

さらに、PSEは複数会場での運用を見据えていたため、新たなアーキテクチャは集中制御およびリモート制作ワークフローにも対応する必要がありました。これは、複数ベンダーの機材を単一システムへ統合し、複雑さを増やすことなく単一のコントロールルームを超えて拡張し、分散運用を可能にすることを意味していました。

  • Pacers Sports and Entertainment ブロードキャストエンジニアリング&オペレーション担当AVP Emily Wright

    「IPの検討を始めたとき、私たちはST 2110に技術的に対応しているかどうかだけを見ていたわけではありません。誰が本当にうまくやっているか、そして来年だけでなく10年後も私たちを支えてくれるパートナーは誰かを知りたかったのです。こうしたシステムを再構築できる機会は、そう多くはありませんから。」

ソリューション

今回の改修は、制作エコシステム全体をより連携性が高く、拡張性に優れ、長期的にコスト効率の良いものへと見直す機会となりました。チームは初期投資と長期的な運用の持続可能性を慎重に見極め、今日の決定が将来の成長を支えられるようにしました。

PSEは、EVSのライブ制作・リプレイ、メディアアセット管理、そしてIPブリッジングや信号処理、放送制御向けのメディアインフラソリューションを組み合わせた、柔軟なIPファーストのアーキテクチャを中心に制作環境を再構築しました。重要な目標は、複雑さを増やすことなく、超低遅延とフレーム精度の高いパフォーマンス、シームレスなワークフローを実現しながら、オペレーターにとってIPを意識させない運用を実現することでした。

その運用の中核を担うのが、EVSの放送制御・オーケストレーションシステム『Cerebrum』です。カメラ、音声、リプレイ、グラフィックス、ルーティング、施設システムを個別のサイロとして管理するのではなく、『Cerebrum』は制作環境全体をオーケストレーションする単一のインターフェースを提供します。これにより、カメラやテレプロンプター、リターン、マルチビューアなど、複数メーカーの優れた技術をシームレスに統合できる統一レイヤーが実現し、オペレーターがプログラムやインターフェースを切り替える必要もなくなりました。

  • Pacers Sports and Entertainment シニアブロードキャストエンジニア David Hentz

    「『Cerebrum』を初めて導入したとき、私たちはこれを単なるルーター制御だと思っていました。しかし実際には、それをはるかに超えるものでした。すべてのデバイスを制御し、複数会場を1つの中央拠点からサービスできるようになったことで、私たちの運用はさらに最適化されています。」

このアーキテクチャの中で、EVS『Neuron』はIPゲートウェイおよび処理レイヤーとして機能し、SDIとIPの領域をブリッジし、必要に応じて信号を変換します。

こうした複雑さは、オペレーターからは意識されません。オペレーターは使い慣れたワークフローをそのまま使い続けながら、『Cerebrum』が背後でオーケストレーション、モニタリング、自動化を担います。制作スタッフは、インフラのトラブルシューティングではなく、ストーリーテリングと実行そのものに集中できます。

このプラットフォームは高度なカスタマイズにも対応しています。チームは『Neuron』内の音声ルーティングを簡素化する専用コントロールパネルを設計し、日常的な作業をより迅速かつ直感的にしました。ディレクターはWebインターフェースからラベルやニーモニックを更新でき、その変更はUMDやコントロールパネルに即座に反映されます。

リプレイ面では、PSEはEVS『LSM-VIA』リモートへアップグレードし、より迅速なワークフローと高い創造の自由度を獲得しました。さらに『XtraMotion』の導入により、AI生成による特殊効果を用いて、リプレイをより印象的でクリエイティブなコンテンツへと仕上げるための強力なツールを手にしました。

  • Pacers Sports and Entertainment ブロードキャストエンジニアリング&オペレーション担当AVP David Hentz

    「『Cerebrum』を初めて導入したとき、私たちはこれを単なるルーター制御だと思っていました。しかし実際には、それをはるかに超えるものでした。すべてのデバイスを制御し、複数会場を1つの中央拠点からサービスできるようになったことで、私たちの運用はさらに最適化されています。」

Gainbridge Fieldhouseを超えたワークフローの拡張

2026年、PSEはGリーグチームの新たな本拠地であるThe Arena at Innovation Mileにも制作能力を拡張しました。独立したコントロールルームを新設するのではなく、既存のインフラと『Cerebrum』のオーケストレーション機能を活用し、両会場を接続しています。

このアプローチにより、試合やファンエンゲージメントコンテンツの集中的なリモート制作が可能になり、品質を維持しながらコストを削減できています。『Cerebrum』により、両拠点のチームは単一の統合されたユニットとして運用できます。「Salvos」のようなツールを使うことで、イベント構成を迅速に展開でき、複数会場での運用がさらに効率化されています。

結果

  • 実用的で拡張性の高いIPアーキテクチャ
    Pacers Sports系列の各組織は、エッジのベースバンドシステムとシームレスに統合された、モダンなIPファーストの制作コアで運用されています。使い慣れたワークフローはそのまま維持され、ゲームデーの運用は途切れることなく続き、制作スタッフは単一の直感的なインターフェースを通じて、集中管理されたリソースを活用しながら複数会場をまたいで運用できます。
  • 超低遅延の制作
    このアーキテクチャは極めて低い遅延を実現し、フレーム精度の高いリプレイやインカム、カメラシェーディング、実況を可能にします。スコアボードや時計、映像フィードは常に完全に同期しており、REMIやリモート制作モデルにありがちな妥協を排除しています。
  • 会場の進化に合わせて拡張できるシステム
    制作ニーズの拡大に応じて、インフラもともに拡張できます。全体設計を作り直すことなく、XTサーバーやオペレーターポジション、『Neuron』プロセッサーを追加でき、当初の投資を保護しながら能力を拡張できます。
  • 統一された可視性と制御
    複数のシステムを行き来する代わりに、チームは単一のカスタマイズ可能なインターフェースから作業できるようになりました。『Cerebrum』はモニタリング、制御、ラベリング、自動化、施設統合を一元化し、より明確な状況把握と迅速な意思決定を実現します。
  • より迅速で信頼性の高いイベント設営
    『Cerebrum』の「Salvos」機能により、複雑なシステム変更をワンクリックで実行できます。イベントの準備では、ルーターのパス、サーバー設定、マルチビューア構成をまとめて調整でき、設営時間を大幅に短縮し、ヒューマンエラーのリスクを低減しています。
  • 制作品質の向上
    『LSM-VIA』への移行はスムーズに進み、オペレーターは高度な機能をすぐに使いこなせるようになりました。『XtraMotion』のAIによる映像強化と組み合わせることで、会場内体験を高め、競争力を強化する、視覚的にインパクトのある高品質なリプレイを提供できています。

結果

IP制作インフラの中核にEVSを据えたことで、Pacers Sports & Entertainmentは、現在の要求に応えながら将来の成長も支える、柔軟で相互運用性の高いプラットフォームを運用しています。

Gainbridge FieldhouseからThe Arena at Innovation Mileまで、PSEは複数会場にわたって一貫した高品質な制作を実現しています。このシステムは、スポーツ・エンターテインメント組織がIPとオートメーション、オーケストレーションを活用し、運用効率を高め、新たな制作能力を引き出し、ファン体験を向上させるための、ひとつのモデルケースとなっています。

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